2016年(前期)テーマ 『人間の文化Ⅰ』

No タイトル・メッセージ 講師

第1回

2月18日

(木)

セイクレッド・サイレンス(聖なる沈黙):先住民に伝わるスピリットの世界地図』

 2016年(前期)は、のテーマは『人間の文化』。第1回目の講師は、ネイティブアメリカンの研究や武道、健康法の紹介、またセラピストとしても活動している寿原 煌介氏です。サロンでは、たびたびパネリストとして寿原さんをお迎えしていましたので、ご存知の方も多いかと思います。今期前半のユングサロンは、寿原さんのメインのフィールドでもあります、太古の文化からスタートとなります。

<講師メッセージ>

 本年前半のユングサロンのテーマは、『人間の文化』です。洋の東西、南北半球問わず、伝統として代々受け継がれてきた叡智。その叡智や象徴、サインを人類はどのようにして気づき、学び、文化として伝えてきたのでしょうか・・・・?

 1万2千以上前から伝えられてきている叡智の伝承方法、更に10万年以上前、人類発生の地とも言われているアフリカ大陸に於いて、人類が樹上生活をしていたころの伝承や、オセアニアのアボリジニの宇宙創世神話など、様々な角度からスピリットの世界へとつづく地図(を見つけるための入り口)を紹介したいと思います。

寿原 煌介

第2回

3月17日

(木)

 『ご近所のぜいたく空間”銭湯”』

<講師メッセージ>

 のびのびとした浴槽に富士山のペンキ絵、カポーンと響くケロリン洗面器…湯上がりにのんびりと聞くご近所話。“銭湯”は日本の誇れる文化、地域の貴重な資源といえます。そんな“銭湯”は今、東京で1週間に1軒近いペースで失われています。コミュニケーションの希薄さが騒がれる昨今、つながりの欠如を補う潜在的な力をもったこの文化、この空間をいつまでも大切にしていきたいものです。

 2012年冬、半年後に閉店を控えた中庭のある銭湯「おとめ湯」に出会った私たちは、その最後の姿を徹底的に記録しました。その過程ではっきりと浮かび上がったのは銭湯を起点に縦横に広がる地域のネットワーク。銭湯を支えるご一家や馴染みの方々から伺う話は、それぞれの家族や地域の歴史、ひいては東京の歴史を感じさせるエピソードで溢れています。そのような地域の“記憶”や“思い”、それらの行き場が無いまま変化を続ける東京という都市に危機感を覚えます。

様々な課題と向き合いながらも、多様な人々にかけがえのない場を提供し、地域の生態系を維持し続ける”銭湯”。

 今回はそれらの価値を可視化し、つなぎとめ、活かしていく活動の一部をご紹介します。今、現代だからこそ改めて感じる“銭湯”の可能性を感じて下さい。 

 栗生はるか + 文京建築士会ユース

第3回

4月21日

(木)

 『魔の時、喪の宴へ ─ 19世紀オカルティズムへの招待』

 今期第3回目のユングサロンでは、フランス文学者の大野英士氏による、十九世紀後半期の近代フランスにおけるオカルティズム思想についてのお話を頂きます。この時期のフランスと現代日本には、国と時代とを超えて不思議な符号があります。

< 講師コメント>

 実証主義=科学主義の時代とされ、ヨーロッパ先進国の科学技術の粋を誇る万国博覧会に点綴された19世紀。その世紀はまたマリアを始めとする聖なるものの出現に取り憑かれ、動物磁気、心霊術、心霊科学、フリーメーソン=イリュミナティの陰謀論などオカルトに取り憑かれた時代でもあった。東北大震災から5年…、金菱清『呼び覚まされる 霊性の震災学』(新陽社)によれば被災地を中心に奇怪な心霊現象の体験談が頻発しているという。近代から現代まで、オカルティズムの闇を通底する心性とはいかなるものか? 出席者の皆さんと共に考えていきたい。 

大野 英士

第4回

5月26日

(木)予定 

 『日本のマスカルチャーに投影されたドラッカー』

< 講師コメント>

 P.F.ドラッカーは、1909年オーストリア=ハンガリー帝国の首都ウィーン生まれのドイツ系ユダヤ人で、一般には経営学者、また、ナチス台頭、ソ連の崩壊、日本の高度経済成長などを言い当てたことから未来学者とも呼ばれていますが、自身は「社会生態学者」と称しています。

 ドラッカーの教えは、孔子(論語)や石田梅岩(石門心学)ほか、渋沢栄一、松下幸之助、土光敏夫など主に優れた経営の考え方と共通する部分が多く見受けられます。

 今回は、今期のサロンのテーマ〝文化〟に則し、アニメのワンピースをはじめ、NHKの朝ドラ、口伝を書き起こした古事記、一茶の俳諧歌などいわゆる大衆向け文化との共通点を探ります。

 ドラッカーと類似する教えが、彼と接点がないこれら日本文化の中に存在する理由は、ユングのいう集合的無意識の中に人類共通の普遍的真理があり、そこから〝人〟という媒体をとおして、投影されるからと考えています。共通の価値だからこそ、人の中にある〝真我〟の琴線に触れ、多くの人の心を動かすのでしょう。 

阿部 美穂

第5回

6月16日

(木)予定

 『失われゆく満州族の精神と文化』

〜満洲族におけるシャーマニズムの原郷と時空を求めて〜

 満洲族の人口は現在約1.200万人。満洲語を話せる人はわずかに20数名しかいない。私が監督した最新映画『ロスト マンチュリア サマン』に登場した2人の長老サマンは、撮影を終えて2人とも他界しました。奇しくも時代の変換期に立ち会い、何とも言えない悲しみを覚えました。自らの風習や信仰及び言語が消えるとしたら、この民族における根本的な精神部分が失われてゆくのではないでしょうか。今回の話は、民族文化が消失しつつある現状に悲哀を感じながらも、存続が危ぶまれる伝統風習を守りぬこうとする人々の苦闘や希望、精神や意志の存続について探り、また清帝国を作った満洲族のサマン文化は、私たちの現代人になにをもたらしたかについて考えます。シャーマニズムは文明を解明する一つの鍵であるように、現在社会における良き知恵として受け止める必要があると思います。   ※注 サマン:Shaman(シャーマン)

★映画official sitehttp://taiiproject.wix.com/lostmanchuriashamans

金 大偉

講師

氏名 プロフィール
寿原 煌介

 1987年に始めた武道を通じて、伝統医療の世界に触れる。25年以上にわたり武道の指導を行いつつ、特に稽古における様々な伝承法から、健康法、修行法などを総合的に研究。あわせて伝統医療以外の代替医療も研究・普及に従事する。2005年、ネイティブアメリカンの叡智を伝える、世界最大のサバイバルスクール【トラッカースクール】(日本開催)に参加。そして、Wild And Native にて、代表の川口 拓師より、先住民の叡智を実践すること学ぶ。同時に、量子論やシャーマニズムにも関連がある心理学に出会う。先住民に伝わる医療法と心理学の共通点などから、人が治る・治す関係性についてヒントを得る。現在、80年代日本で「氣」のブームを作った武道の動きや、心理学、物理学、世界の先住民に伝わる療法(シャーマニズム等)を通じ、主に、養生法、先住民のヒーラー(メディスンマン)に伝わる瞑想法や技法によって、各自が学んできた療法を深める方法を紹介する活動などを(個人セッションを含む)行っている。(詳細は http://relaxis.jp/profile/ )

栗生 はるか

 文京建築会ユース 代表。早稲田大学建築学修了。ヴェネツィア建築大学留学。2008-2012年 ㈱NHKアート、文化事業開発ディレクター。2012年より横浜国立大学“Y-GSA"スタジオ・アシスタント、Mosaic Design共同主宰。2015年より法政大学デザイン工学部教育技術員。建築教育、デザインに携わりながら、地域の魅力を様々な角度から発信する有志団体、文京建築会ユースの代表を務める。2014年文の京 都市景観賞「景観づくり活動賞」受賞。2015年「これからの建築士賞」受賞。文京建築会ユースHP  http://bunkyoyouth.com

大野 英士

(おおの ひでし)

 1956年東京生まれ。フランス文学者。東京大学文学部仏文学科卒業、早稲田大学文学研究科仏文学専攻博士後期課程満期退学。1993年から2000年までパリ第7大学大学院でジュリア・クリステヴァに師事。2000年「おぞましき美─J=K・ユイスマンス作品における否定性の機能」により、文学博士号(ドクトール・エス・レトル)取得。現在、早稲田大学、昭和女子大学、駒沢大学非常勤講師。主な著書に、『ユイスマンスとオカルティズム』(2010,新評論社) 、『ネオリべ現代生活批判序説』(共著,2008増補版,新評論社)、訳書にフランソワ=グザヴィエ・ヴェルシャヴ『フランサフリック─アフリカを食い物にするフランス』(共訳,2003,緑風出版)などがある。現代日本のサブカルチャー文化についての著述も多数。講談社選書メチエより近著出版予定。指揮者の大野和士は実弟。 

阿部 美穂

(あべ みほ)

 山梨県出身 山梨大学 工学部 発酵生産学科卒。消費者センター商品テスト指導員、ドラッカー学会10周年記念大会実行委員、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 東日本支部広報副委員長。ドラッカー学会員、伊勢神宮崇敬会員、桂林芸術交流協会員、日中現代芸術交流協会会員、NYセーラムギャラリー第4回ジャパニーズセレクテッドアーチスト展出品。消費生活アドバイザー、甲種危険物取扱者、食生活アドバイザー、統計士(文科省認定通信講座 文部科学大臣賞受賞)、乗馬(エンデュランス)2級、弓道弐段、詩吟(岳風会)準師範、所沢吟詠会理事、所沢市助成事業お達者倶楽部推進委員。日本最大手の試験機関の微生物部門で、抗菌力試験、異物検査、虫の鑑定、カビの同定などに従事。抗菌加工製品の評価試験法の開発にも関わり、同法は後にJIS規格 Z 2801、更に、国際規格ISO 22196に発展。改善活動などの功績により、チーム・個人含め、12回の理事長表彰受賞。著書「モンキー・D・ルフィの「D」はドラッカーだった」(経済界)

金 大偉

(きん たいい)

 映像作家、音楽家。中国生まれ。父は満洲族の中国人、母は日本人。来日後、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。様々な要素を融合した斬新な作品を創出している。音楽CDWaterland('97)、『新・中国紀行』('00)、 2006年に「道 tao」シリーズ3枚を発表。また中国の納西族をテーマにした『 東巴TOMPA.』シリーズ3枚を発売。『The Earth』('08)、『水郷・紹興』('10)。東日本大震災への祈りの組曲『念祷 nentou』('11)、『冨士祝祭~冨士山組曲~』('14)などリリース。最新作『変形記』('15)は中国にて発売された。 映像監督作品は、『海霊の宮』('06)『水郷紹興』('10)『花の億土へ』('13)『ロスト・マンチュリア・サマン』('15)など多数。 

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