2015年(前期)テーマ 『根源的なるものと現実』

 日程および会場は都合により変更になることもありますので、ご参加の際は当HPをご確認ください。

No タイトル・メッセージ 講師

第1回

2月19日

(木)

「満洲民族の統合思想 ~愛新覚羅一族の視点と変遷~」

<講師メッセージ>

 

「400前に女真族(満洲族)の興起により清王朝が建国され、2016年では建国400周年にあたる。清帝国は現在の中国の基礎を作った原形でありながら、多民族国家の統合した独自な形態を作ったともいえる。今回は、清王朝の成立における原点的な行動や思想、また皇族である愛新覚羅一族の考え方をまとめて紹介させていただき、同時に存在する「統合や調和思想」の根本的な部分を探りたいと思う。漢民族の巨大時空の領有を宣言した満州族の流れを一層理解することで、現在の中国や多元的な東アジアの全体像を明確化するヒントになるのであろう。」  

  

 

金 大偉

第2回

3月19日

(木)

C・ロジャーズと人間の潜在力」-個人尊重のアプローチ

 今回のタイトルは、アメリカの心理学者C・ロジャーズ(Carl Rogers 1902-1987)の著書『人間の潜在力-個人尊重のアプローチ』(畠瀬稔・畠瀬直子訳 創元社1985年)より付けました。ロジャーズの人間観と、彼が創設した心理療法-「クライエント中心療法Client Centered Therapy」の特徴を示しています。

1960年代~初期日本のカウンセリング界に大きな影響を与え心理臨床の普及に寄与しながら、以後、心の病や精神障害など病よりの治療へ進んでいる現代の臨床心理学では、殆ど省みられなくなっています。しかし、現在も臨床心理士やカウンセラーの育成、事例研究の手法として面接内容の録音記録、逐語化は必須であり、又、相談の対象者を患者(patient)ではなく、クライエント(client来談者)と称したのもロジャーズから始まっています。

1982年、アメリカ心理学会の調査で「20世紀に最も影響の大きかった心理療法家」として、第一位に選ばれています。ロジャーズは、学生時代に1度、その後2度来日しています。ロジャースの心理学・心理療法について紹介してみたいいと思います。

 

高玉 泰子

第3回

4月16日

(木)

「回路としての想像力(ファンタジー)

 

 甲田氏は10年前に当研究会で講演され今回が5回目、哲学、宗教、心理、文学など多分野にわたる碩学の哲学者・文化人で、井上円了の妖怪学の権威としても知られています。また落語脚本も試みるなどユーモアある語り口で、難しい哲学の話を誰にでもわかるように講釈する庶民派の哲学者です。タイトルに驚かれることなく、どうぞ気軽にお越しください。

 

<講師メッセージ> 

  私たちは毎日、想像をしています。それは明日のことや遠い未来のこともあれば、また夢の中におけるように、醒めてみなければわからないこともあります。さらにそれは神話や民話、物語を担うものともされています。この想像力(phantasy)はユング心理学においても重要な概念の一つとなっていますが、私たちがこの働きを行使しているのか、それとも中国の「胡蝶の夢」の喩えのように、人間自体が夢みられているのか、といったことについてはさまざまな立脚点があります。今回は、ユング派の流れをくむアーノルド・ミンデル(Arnold Mindell, 1940- )におけるチャンネル(channel)の理論と、最晩年のジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)における「回路」という概念を交差させながら、「想像力」の意味について考えてみたいと思います。それを通じて了解されてくることは、身体における「前」と「後」の差異であり、また最も小さなことに最も大きなものが入り込み、逆も可能という一見、不思議な世界です。みなさんの想像力の扉から、ほんのちょっと現実の奥をのぞいてみませんか。 

 

甲田 烈

第4回

5月21日

(木)

 

「風景の創造  ‐風土の特性を形にして‐」

  今期第4回は、環境デザイナーの清水文美子氏による環境デザインのお話です。講演の後には、数多くの公共事業のプランニングに関わってきた早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の藤倉英世氏、当研究会顧問で音楽家・映像作家の金大偉氏のお二方を交えたパネルトークを予定しています。


■ 講師コメント

 地域の環境整備に携わるとき、その土地の気候、風土、歴史、文化、自然、人々の暮らしや将来への希望のことなどを考えます。そして、そこにしかない魅力を見いだしたり、形づくったりしていくのは、人に対するカウンセリングや個性化への過程を進めていくということに、少し似ているかもしれません。整備の前には殺伐としていた風景が、整備後には、人々が愛着を持って利用できる場所へと変化していく。このような、いわば空間の変容の前には、現実的な困難や制約をクリアするだけではなく、心理面、つまりかかわる人々の“こころ”の状態が変化することが、必要な気がします。また、その土地の自然とかかわる場合、そこに住まう、精霊や自然霊と呼ばれるようなものと協力していくことも、地

域の、声にならない声を感じ取ろうとすることと共に、大切なことではないでしょうか。今回、構想から実施に至るまでの環境整備の実際の経験から、多分、普段あまり触れられることのない内的なプロセスを含めて、お話してみたいと思います。

 

清水 文美子

第5回

6月18日

(木)

  

「翻訳という観点からの仏教理解」

 今回の講座は、ユングセミナー/サロンが発足した20047月より、まる11年、110回目に当たります。初期当時の会員コアメンバーは、林道義先生の日本ユング研究会と仏教学者津田真一先生のグループの人たちでしたが、後者の人たちの中心が当時室生寺の副住職でユングにも関心を持たれていた網代裕康氏です。プロフィールでご覧の通り、いままで

4回講師をお願いしてきました。今回は、シリーズ通期テーマ「根源的なるものと現実」の締めくくりとして宗教の視点からのお話です。内容は、仏教思想史とくに日本の近代仏教学が、お釈迦様の仏教経典の原典からいかに変容してきたか、その要因の中で漢訳という翻訳作業がいかに大きな影響を与えてきたかについて、一般にはあまり知られていない貴重なお話が伺えるものと思っております。(大橋)


<講師コメント>

 仏教経典の原典(=根源的なるもの)は、インド古代言語のサンスクリット語、又はパーリ語で著されていました。中国に伝えられた原典は、両言語に精通した僧により漢語に翻訳されましたが、風土、政治、習慣や、すでにある思想等の影響が考慮された内容に改められることがありました。その上、中国では漢字至上主義から翻訳後に焼き捨てられたために(隠蔽の目的もある)原典は残っていません。しかも仏教経典に似せて著された経典(中国撰述/偽経)まで出てくる有様です。さて、言語の文法を学んで、辞書を引きながら逐語的に訳すことは可能です。現在では、ネットやアプリを使用して訳すこともできますが、違和感を受けるような訳語もしばしば見られます。当たり前のことですが、翻訳とは異なった言語に、元の意味を損なわないように、意味が通じるように訳す必要があります。そのためには知識を総動員し、注意深く意味を理解しなければならないのです。今回は幾つかの原典を例として、翻訳の真実と現実に迫ってみたいと思います。


網代 裕康

 
 
 
 
No タイトル・メッセージ 講師

第1回

2月19日

(木)

「満洲民族の統合思想 ~愛新覚羅一族の視点と変遷~」

<講師メッセージ>

 

「400前に女真族(満洲族)の興起により清王朝が建国され、2016年では建国400周年にあたる。清帝国は現在の中国の基礎を作った原形でありながら、多民族国家の統合した独自な形態を作ったともいえる。今回は、清王朝の成立における原点的な行動や思想、また皇族である愛新覚羅一族の考え方をまとめて紹介させていただき、同時に存在する「統合や調和思想」の根本的な部分を探りたいと思う。漢民族の巨大時空の領有を宣言した満州族の流れを一層理解することで、現在の中国や多元的な東アジアの全体像を明確化するヒントになるのであろう。」  

  

 

金 大偉

第2回

3月19日

(木)

C・ロジャーズと人間の潜在力」-個人尊重のアプローチ

 今回のタイトルは、アメリカの心理学者C・ロジャーズ(Carl Rogers 1902-1987)の著書『人間の潜在力-個人尊重のアプローチ』(畠瀬稔・畠瀬直子訳 創元社1985年)より付けました。ロジャーズの人間観と、彼が創設した心理療法-「クライエント中心療法Client Centered Therapy」の特徴を示しています。

1960年代~初期日本のカウンセリング界に大きな影響を与え心理臨床の普及に寄与しながら、以後、心の病や精神障害など病よりの治療へ進んでいる現代の臨床心理学では、殆ど省みられなくなっています。しかし、現在も臨床心理士やカウンセラーの育成、事例研究の手法として面接内容の録音記録、逐語化は必須であり、又、相談の対象者を患者(patient)ではなく、クライエント(client来談者)と称したのもロジャーズから始まっています。

1982年、アメリカ心理学会の調査で「20世紀に最も影響の大きかった心理療法家」として、第一位に選ばれています。ロジャーズは、学生時代に1度、その後2度来日しています。ロジャースの心理学・心理療法について紹介してみたいいと思います。

 

高玉 泰子

第3回

4月16日

(木)

「回路としての想像力(ファンタジー)

 

 甲田氏は10年前に当研究会で講演され今回が5回目、哲学、宗教、心理、文学など多分野にわたる碩学の哲学者・文化人で、井上円了の妖怪学の権威としても知られています。また落語脚本も試みるなどユーモアある語り口で、難しい哲学の話を誰にでもわかるように講釈する庶民派の哲学者です。タイトルに驚かれることなく、どうぞ気軽にお越しください。

 

<講師メッセージ> 

  私たちは毎日、想像をしています。それは明日のことや遠い未来のこともあれば、また夢の中におけるように、醒めてみなければわからないこともあります。さらにそれは神話や民話、物語を担うものともされています。この想像力(phantasy)はユング心理学においても重要な概念の一つとなっていますが、私たちがこの働きを行使しているのか、それとも中国の「胡蝶の夢」の喩えのように、人間自体が夢みられているのか、といったことについてはさまざまな立脚点があります。今回は、ユング派の流れをくむアーノルド・ミンデル(Arnold Mindell, 1940- )におけるチャンネル(channel)の理論と、最晩年のジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)における「回路」という概念を交差させながら、「想像力」の意味について考えてみたいと思います。それを通じて了解されてくることは、身体における「前」と「後」の差異であり、また最も小さなことに最も大きなものが入り込み、逆も可能という一見、不思議な世界です。みなさんの想像力の扉から、ほんのちょっと現実の奥をのぞいてみませんか。 

 

甲田 烈

第4回

5月21日

(木)

 

「風景の創造  ‐風土の特性を形にして‐」

  今期第4回は、環境デザイナーの清水文美子氏による環境デザインのお話です。講演の後には、数多くの公共事業のプランニングに関わってきた早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の藤倉英世氏、当研究会顧問で音楽家・映像作家の金大偉氏のお二方を交えたパネルトークを予定しています。


■ 講師コメント

 地域の環境整備に携わるとき、その土地の気候、風土、歴史、文化、自然、人々の暮らしや将来への希望のことなどを考えます。そして、そこにしかない魅力を見いだしたり、形づくったりしていくのは、人に対するカウンセリングや個性化への過程を進めていくということに、少し似ているかもしれません。整備の前には殺伐としていた風景が、整備後には、人々が愛着を持って利用できる場所へと変化していく。このような、いわば空間の変容の前には、現実的な困難や制約をクリアするだけではなく、心理面、つまりかかわる人々の“こころ”の状態が変化することが、必要な気がします。また、その土地の自然とかかわる場合、そこに住まう、精霊や自然霊と呼ばれるようなものと協力していくことも、地

域の、声にならない声を感じ取ろうとすることと共に、大切なことではないでしょうか。今回、構想から実施に至るまでの環境整備の実際の経験から、多分、普段あまり触れられることのない内的なプロセスを含めて、お話してみたいと思います。

 

清水 文美子

第5回

6月18日

(木)

  

「翻訳という観点からの仏教理解」

 今回の講座は、ユングセミナー/サロンが発足した20047月より、まる11年、110回目に当たります。初期当時の会員コアメンバーは、林道義先生の日本ユング研究会と仏教学者津田真一先生のグループの人たちでしたが、後者の人たちの中心が当時室生寺の副住職でユングにも関心を持たれていた網代裕康氏です。プロフィールでご覧の通り、いままで

4回講師をお願いしてきました。今回は、シリーズ通期テーマ「根源的なるものと現実」の締めくくりとして宗教の視点からのお話です。内容は、仏教思想史とくに日本の近代仏教学が、お釈迦様の仏教経典の原典からいかに変容してきたか、その要因の中で漢訳という翻訳作業がいかに大きな影響を与えてきたかについて、一般にはあまり知られていない貴重なお話が伺えるものと思っております。(大橋)


<講師コメント>

 仏教経典の原典(=根源的なるもの)は、インド古代言語のサンスクリット語、又はパーリ語で著されていました。中国に伝えられた原典は、両言語に精通した僧により漢語に翻訳されましたが、風土、政治、習慣や、すでにある思想等の影響が考慮された内容に改められることがありました。その上、中国では漢字至上主義から翻訳後に焼き捨てられたために(隠蔽の目的もある)原典は残っていません。しかも仏教経典に似せて著された経典(中国撰述/偽経)まで出てくる有様です。さて、言語の文法を学んで、辞書を引きながら逐語的に訳すことは可能です。現在では、ネットやアプリを使用して訳すこともできますが、違和感を受けるような訳語もしばしば見られます。当たり前のことですが、翻訳とは異なった言語に、元の意味を損なわないように、意味が通じるように訳す必要があります。そのためには知識を総動員し、注意深く意味を理解しなければならないのです。今回は幾つかの原典を例として、翻訳の真実と現実に迫ってみたいと思います。


網代 裕康

 
 
 
 

講師

氏名 プロフィール
金 大偉

映像作家、音楽家。中国生まれ、父は「清国」王朝愛新覚羅一族の中国満州人、母は日本人。13歳の時に家族と共に来日。以降、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。各分野において高い評価を受けている。音楽CDHarmony('96)Waterland('97)『新・中国紀行』('00) 『 龍・DRAGON ('00) 2006年に「道 tao」シリーズ3枚を発表。また中国の納西族をテーマにした『 東巴TOMPA.』シリーズ3枚を発売。中国の原風景をイメージに『水郷・紹興』('10)。東日本大震災への祈りの組曲『念祷 nentou』('11)、『Hi-Fu-Mi 火風水』('12)、『冨士祝祭』(14)など多数リリース。 映像監督作品は、『海霊の宮』('06)『水郷紹興』('10)『花の億土へ』('13)など多数。

 

高玉 泰子

・(ヒューマンライフ心理センター・心理相談室 代表。国立看護大学校 非常勤講師、大学・大学院学生相談室カウンセラー、日本カウンセリング学会認定カウンセラー、日本健康心理学会認定健康心理士、法務省 東京保護観察所 三鷹分区 保護司、三鷹警察生活安全部 被害少年サポーター。

・<著書>新刊「対話のこころ 聞く・訊く・聴く そしてつながる 」(文芸社)

 

甲田 烈

1971年、東京生まれ。専攻は仏教学・比較思想。関心領域はトランスパーソナル心理学・妖怪研究。2004年より相模女子大学非常勤講師。2014年より東洋大学井上円了研究センター客員研究員。単著に『手にとるように哲学がわかる本』(かんき出版)、共著に『インテグラル理論入門Ⅰ・Ⅱ』(春秋社)がある。関連論文多数。また『〈妖怪〉を知るためのレッスン』を刊行予定。

 

清水 文美子

 環境デザイナー。専攻は文学部の美学美術史。

 企画・デザイン系の仕事から、全く異分野である土木の世界へ。河川、橋梁、公園などの景観設計に携わる。

 作品事例

  笠間芸術の森公園:水辺の広場2.3ha(総面積は約54ha)

  砂沼大橋:全国でも珍しい、Y 字型の人道橋(全長395m)

  谷口上橋:前田敦子氏(2010 年当時AKB48)主演「Q10(キュート)」の撮影に使用

  石田川若宮ふれあい公園:「ぐんまの川百選」に選定

  深良古川:疎水百選の深良用水からつながる川

  牧之原地区の調整水槽の壁面及び敷地の計画:受益面積5145ha/直径約45m、高さ約5mの円筒形構造物10箇所

 施主/ 農林水産省、建設省(現・国土交通省)、東京都、埼玉県、茨城県、群馬県、静岡県など

 日本色彩学会にて、「環境整備事例における色彩構成の分析」発表

 

網代 裕康

大本山室生寺教務執事、仏教思想/密教学研究家、前大本山室生寺副住職。

本講座での今まで4回の講義内容は次の通り。

2005/5「ブッダの根本体験とユングの個性化」

2007/5「インド哲学とユング」

2008/5「密教における行の実践」

2009/5「死後再生の原理と他世界~現世解脱と来世往生の道」

 

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