2013年後期テーマ 『内と外とをつなぐもの』

No タイトル・メッセージ 講師

第1回

7月18

(木)

「千の風になって」が覆い隠したもの -お墓の現状と死の存在論-

 

 政治、経済、法制、社会構造、都市計画、衛生、宗教、民間信仰、家族、そして心理・・・ お墓というのはありとあらゆる分野と関わり合いを持ち、様々な諸制度や諸関係の結節点としてはじめてその形を顕わしてきます。お墓をてがかりにすることで、あらゆる領域についての視点を得ることができると言っても過言ではありません。

 日本では1990年代頃から、新しい形での葬送の試みが盛んに行われ始めてきましたが、これはそれと同時期に起きてきた家族意識の変化や人間観の大きな変動と無関係ではありません。いわゆる「団塊の世代」の後に続く急激な人口減は、これまでの先祖祭礼の制度の維持を大変困難なものにしています。一方で、新しい形の葬送の試みも、未だそれぞれに利点と問題点とを抱えていて、次世代の新しい葬送の制度というのはまだ見えてきていないように思います。

 葬送の制度が揺らいでいる中でも人は亡くなっていきます。私たちは誰もが、お墓の問題について、自分や家族の「最後」について、自分なりの選択を考えなければならない時代になってきました。そうした皆さんの「最後の選択」の際に、少しでもお役に立てるようなお話ができればと思います。

 

 

白田 信重

 

第2回

9月19日

(木)

錬金術、タロットの秘密の扉をご一緒に

 

 タロットに秘められた錬金術コードを知ることは、昔からそして現在でも、大事なイニシエーション(秘儀参入)のステップです。

 この度はユング心理研究会にご参加の皆さまにだけ特別に、ほんの少しだけ、その秘密のとびらを開いてみようと思います。人生の岐路に、自分磨きのために、そして古の賢者たちの思いを知るひとつの魅 惑的な機会になれれば幸いです。

 

所 れい

第3回

10月17日

(木)

「幻想的リアリズム」 ~鎮魂文学者・石牟礼道子の最新映画制作の魅力~

 ユングによる「現実的(Wirklich)とは、現実に働いているもののこと(was wirkt)である」という言葉は、私たちを実際に強く揺り動かす深層からのイメージこそ、私たちにとって否応ない現実たりうることを示唆します。 「ユングのいう集合的無意識に支えられた、深い生命への祈りともいうべきことば」(鈴木貞美)とも評される石牟礼道子の作品世界と、これに触発された金大偉氏の映像世界は、そうした「真のリアル」を私たちの前に紡ぎだしています。

 

金大偉氏からのメッセージ;

 この映像作品は、現在から近い将来に、人々が自然との共存や共生における最も必要とされる石牟礼世界から放出する啓示とその真の意味を明かす新しい哲学的な映像表現であると思います。レクイエムの深層から喚起する大海の鏡、「あの世」と「この世」の過去、現在、未来の時空と「光」における循環の姿。そこに夢と希望が秘められています。今回の映像制作について、私が感じたことや体験によって認識した様々な視点を提示したいと同時に、さらに映像表現における統合的な存在意味をも探りたいと思います。

 

金 大偉

 (Kin Taii)

第4回

11月14日

(木)

 

『住宅の内と外~「谷中の家」から見えてくるもの』

 ユングは「自分自身になるため」、後に「塔の家」と呼ばれる小さな小屋を自分で建て上げました。建物は深層の心の現れでもあり、私たちはその建物をひとつの環境として生きています。心は私の内にあるのではなく、むしろ私たちが心の内で生きているのかもしれません。

 

 

 講師・西川直子氏からのメッセージ:

 「谷中の家」とは、台東区谷中、幅3m弱の路地に建つ、敷地20坪ほどの小住宅です。住宅というごく小さいプライベートな空間でありながら、同時に広く外界ともつながっていくことを意図して設計された建物です。「谷中の家」では、路地→土間→室内→中庭→室内→屋上庭園と、内と外、私と世界が入れ子状に循環しています。住宅を内と外という視点で捉えていくとコルビュジェの近代建築の5原則にも、日本の伝統的空間にも通じるものがあるのです。この「谷中の家」のほかに、20世紀世界3大名作住宅と、お気に入り極小「小屋」3つもご紹介。今回は、設計者の武山肇さんに来ていただき、「谷中の家」常連で当研究会副会長の白田信重さんも交え、住宅を設計するという行為の不思議さ、面白さについて語ることができたらと思っています。

 

 

西川 直子

武山 肇

第5回

12月19日

(木)

  

図で読み解く、体験の「うち」と「そと」

 私たちは普段、自分の心の領域を「内なる主観的なもの」、事物を「外なる客観的な実在物」と見なしています。しかしユングは、どちらも実際には我々のこころにおける体験であり、両者は同様に現実性を持ちうると考えましたユングにとっての「現実」の基準は、我々に対して実際に何らかの作用を及ぼすものであるかどうかに置かれています。

 

 

講師・檜垣清志氏からのメッセージ:

 人の意識の中心である「自我」を通して見聞き体験したものは、その自我から見れば、どれも同じように現実(リアリティ)なのだと思います。一方でその自我の体験が、その人の個人的意識の中からだけで発生したものであるか、ユングの言う無意識集合意識、集合無意識といったより深層の領域からの影響を受けて体験したものかで、かなり意味合いが違ってきますし、領域毎の影響の程度というのも考えられるわけです。

 また、現実(リアリティ)というものは、何をもって現実とするのかといった難しい問題をはらんでいます。意識の状態によって、例えば所謂変性意識状態では、通常とは異なる世界見たり感じたりする事があります。人に見えないものが見えたり感じたりといった現象は、果たして、全てが気の迷いや、妄想なのでしょうか事実と妄想の境界線はどこにあるのでしょうか真の客観的事実という考え方は、本当に正しいのでしょうか? 今回はこういった一連の疑問について、ケンウィルバーが提唱するインテグラル理論をベースに、領域(個の外、個の内、集合の外、集合の内)、意識の状態(存在の階層性)、発達段階という軸を使って図解し、探求をしてみたいと思います。

 

檜垣 清志

 

講師

氏名 プロフィール
白田 信重

・ユング研究家、ユングネット会長、当研究会副会長。

・浅草で100年の老舗石材店「白田石材店」の第四代目社長。

・早稲田大学商学部卒。

 

所 れい

・RHIヒーリン グハープセンター代表。

・ヒーリン グ・ハープRメソッド及び、ハープ・アルケミーRを創始。

・上智大学哲学科卒。現在、 ヒーリングハープでの演奏、講演、演奏公演やホスピス病院等でのベッドサイド演奏を行うほか、2年間の国際基準の 認定プログラムを開講。

・個人セッショ ンでのヒーリングハープセラピーによる表現芸術音楽心理療法を軸に、エリクソン催眠とNLPなど取り入れたハープアルケミーセッション、各種セラピー、ヒーリングを行う。

 ・CD:Healing Harp Therapy(R) CDシリーズ(日本初の ヒーリングハープCD)著書

・出版物:所れい著「あなたに幸運の女神が舞い降りるCDブック~ヒーリングハープセラピー」(ビジネス 社) 他多数

HP:http://www.healingharp.jp/

 

金 大偉

 (Kin Taii)

・映像作家、音楽家、マルチ・アーチストとして活躍

・近年アジアをテーマに音楽や映像作品を創作。音楽CD、映像作品等リリース多数

・当研究会顧問。

 http://www.kintaii.com

 

西川 直子

・建築ジャーナル編集者。築50年超の民家「谷中の家」オーナー。

・東日本大震災を機に「谷中コミュニティセンター建て替え」問題にかかわり、「谷中の家」を地域コミュニティに開放し、寄席カフェ企画、週末マルシェ、原発映画祭など様々な町興し企画に取り組んでいる。

 http://www.kj-web.or.jp/

 

武山 肇

・辰野武山建築設計事務所 代表取締役。

・「自分にとって、何が本当に大切なのか? 何が本当の快適さなのか?」を施主と共に考え創る建築家。うつくしま未来博エコファミリーハウス国際設計コンペ優秀賞等数々のコンペティションで賞を取得。『コネクションズ』等数々の共訳を手掛ける。 http://www.ne.jp/asahi/tatuno/takeyama/

 

檜垣 清志

・システムエンジニア、アーキテクト。

・九州工業大大学院修士課程修了。

・インテグラル理論のフレームワークによる科学、心理、哲学、伝統主義の理解を趣味としてます。

 

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